好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
先輩は意表を突かれた顔をしている。



申し訳ないな…。



そのまま2人、カラオケを出た。



「じゃあ…またね」

「はい…また…」



あーあ、何やってるんだろう、俺…。



今までの時間、ずっと先輩に気だけ持たせて思わせぶりしてただけじゃん…。



とぼとぼと帰り道を歩く。



まっすぐ家帰る気分じゃないな…。



ちょっと頭冷やそう…。



家の近くの公園に入った。



公園では、多分高校生かな? の女の子が一人ブランコに座ってて。



俺はベンチに座る。



スマホを開いて、今までの先輩とのやり取りを見返してみた。



『今度一緒に出掛けない?』

『いいですね! デートだデート』

『あはは。そんなこと言われたら期待しちゃうよ?』

『先輩かわいいから一緒に出掛けられて嬉しいです』



自分の発言が無責任すぎてため息が出る。



ハア…。



そのとき、ブランコの方からなんだか視線を感じた。



なに…?



視線の方向を見てみると、さっきの子が慌てて俺から視線を逸らした。



それから、全力で立ち漕ぎを始める。



すごい全力!



なんだか面白くて、声を出して笑ってしまった。



「そんな全力でブランコする人初めて見たよ」



俺がそう言うと、その子は恥ずかしそうに縮まりはじめた。



面白いな…。



俺はその子の隣の空いてるブランコに座る。



ってあれ、なんかこの子に見覚えあるな…。



同じ学校かな?



「なんか見覚えある」

「あ…同じ学校の後輩です。あと、先輩がよく来てくれる花屋でバイトしてます!」



元気よく言うその子。



ああー!



言われてみればそうだ!



俺が花材集めによく言ってる花屋さんに最近入ってきたバイトの子だ。



気づかなくて申し訳ない…。
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