好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
しばらくその子…小糸ちゃんと話していた。



俺は、小糸ちゃんの話を聞きながらシロツメクサを集め始める。



花冠作るの好きなんだよね。



小糸ちゃんに似合いそうだ。



出来上がった花冠を小糸ちゃんにかぶせたら、やっぱりよく似合う。



なんか辛そうだから、ちょっとでも元気になってくれたらいいけど…。



5月の気温は心地良い。



そよ風が吹く中、小糸ちゃんの顔がだんだんと赤くなっていくのが分かった。



俺の顔をじっと見る小糸ちゃん。



えっ…。



こういう視線には覚えがある。



いやいや、そんなまさか。



俺のこと、好きになったわけじゃないよね…?



さすがにその考えは小糸ちゃんに失礼か…。



申し訳ないので頭をぶんぶん振った。



小糸ちゃんは不思議そうに見てる。



俺はあいまいに笑ってごまかした。



それからしばらく小糸ちゃんと話していたら、辺りは暗くなってきて。



「そろそろ帰ろうかな…」



小糸ちゃんが言った。



「大丈夫?」

「まあ…お腹も空いたし…」

「そっか」

「なんか色々話聞いてもらっちゃってすみませんでした…」



そんなの全然気にしなくていいのに。



帰るという小糸ちゃんを家まで送っていった。



小糸ちゃんの家は俺の家の近所だった。



何度も頭を下げる小糸ちゃんに微笑んで手を振った。



さ、俺も帰ろう。



5月のそよ風に背中を押されるようにして、俺は家までの帰り道をゆっくりと歩いた。
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