雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「悠翔のお陰で、小百合さんと会うのが怖くなくなったよ。だって私には悠翔が付いてるからね」

心強い味方が一番傍に居るということを、悠翔が教えてくれた。
だからといって、心の底から小百合さんの存在を受け入れたわけではない。悠翔の元恋人という時点で嫌いだ。
でも、ここで元カノとの縁を断ち切り、小百合さんと決着をつけるために会わなくてはならない。私達の穏やかな日常を取り戻すために。

「それならよかった。でも本音を言えば、俺も小百合と会うのは嫌だよ」

悠翔の正直な本音を聞いて、思わず笑ってしまった。

「そうなの?悠翔も嫌なんだ」

「嫌だよ。元カノに会うのに嬉しい人なんていないでしょ」

確かにそうかもしれない。私も元彼とは再会したくない。

「いないかも。できれば会いたくないからね」

「だろ?どうして大好きな奥さんと一緒に元カノに会わねばならないのやら…」

悠翔の方が気が重いはず。それなのにも関わらず、私に寄り添ってくれた。
その思いやりが私の心を救ってくれた。いつでも悠翔は私を救ってくれるヒーローだ。
そんな悠翔を私も救いたい。これから一緒に支え合って生きていくために。

「大丈夫だよ。私がいるから」

「そうだな。奈緒が居るから大丈夫だな」

お互いにお互いを支え合いながら、私達は勇気を振り絞って、小百合さんと会う決心を持った。
小百合さんとのやり取りは悠翔に任せた。私は連絡先を知らないので、致し方なく悠翔が間を持つことに…。
小百合さんに連絡をすると、すぐに返事が返ってきた。返信が早いことは有難いことだが、あまりの返信の早さにこちらの方が戸惑った。
小百合さんは丁寧でかつ返信が早いため、スムーズにやり取りが進み、とんとん拍子に会う日が決まった。
いざ小百合さんと対面することになるのかと思うと、途端に緊張感が増してきた…。
できれば会いたくない人と会わなくてはならないのだから、緊張しない人なんていない。そう自分に何度も言い聞かせた。


           *


そして、いざ小百合さんと対面する日を迎えた。
小百合さんとは家の近所のファミレスで会うことになった。
小百合さんには申し訳ないが、元カノをお家の中へ上げたくはなかった。
復縁を迫っているところを目撃してしまったのもあり、私は小百合さんに対して警戒心を抱いている。
もし、謝罪と称して悠翔を口説き始めたら…。何度も頭の中で最悪な事態を想像してしまう。
向こうがわざわざ謝罪をしたいと連絡を取ってきたのだから、そんな不義理なことはしないはず。
緊張しすぎて思考回路までおかしくなってしまっている。冷静に考えたら分かることまで分からなくなってしまうなんて…。
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