雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
落ち着け、私。動揺したら元カノに負けてしまう。今、悠翔の側に居るのは私なんだから、堂々としていればいい。
自分の心を落ち着かせるために、何度も心の中で私は大丈夫…と唱える。
そう言い聞かせることで、次第に緊張を和らげることができた。
これで大丈夫。元カノといざ尋常に向き合おうではないか!

「奈緒、そろそろファミレスに行くか」

悠翔が手を差し伸べてきた。私はその手を取った。

「そうだね。そろそろ行きますか」

手の温もりから、悠翔の緊張が伝わってきた。
悠翔も緊張していることを知り、安心した。私だけじゃなかったのだと…。
そりゃそうか。悠翔だって元カノと会わなければならないのだから、緊張せずにはいられない。
お互いに緊張しているのを感じながら、ファミレスまで手を繋いで歩いた。
家の近所のファミレスということもあり、歩いて数十分程度でファミレスに着いた。
悠翔は服のポケットからスマホを取り出し、小百合さんからの連絡を確認する。

「小百合からの連絡はないから、まだ着いていないみたいだし、先にお店の中に入って待っていようか」

悠翔は小百合さんに先にお店の中で待っていることを伝えるために連絡をした。
すると小百合さんはすぐに悠翔からの連絡に気づき、了解と一言だけ返信が返ってきた。
無事に小百合さんと連絡がついたので、お店の入り口の扉を開け、お店の中へと入っていくと、すぐに店員さんが駆け寄ってきた。
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」といつも聞かれる質問を問われた。
悠翔さんが率先して店員さんの問いに答えてくれた。

「三名です。人と待ち合わせをしているので、後から連れが来ます」

小百合さんが後から合流することを店員さんに伝えてくれた。
何か何までやってもらっちゃって、本当に有難い。

「畏まりました。それではお先に席へご案内致します」

店員さんが席に案内してくれた。私達は案内された席に座って、小百合さんがお店に着くのを待つことにした。

「ご注文が決まりましたら、タブレットでご注文ください。どうぞごゆっくりお寛ぎくださいませ」

業務的なやりとりを終えると、店員さんは次のお客様の対応のために去った。
急に二人きりとなり、緊張感が増した。今からいよいよ小百合さんと対面することになる…。
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