雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜

最終章:「永遠の愛」

紆余曲折あったが、また穏やな日々を取り戻すことができた。
私は今、とても幸せだ。悠翔とようやく本物の夫婦になれたのだから。
これ以上ないくらい幸せで。この幸せを噛み締めている。

「奈緒、何してるの？」

今日は悠翔が休日なため、お家で一緒にのんびり過ごしている。

「小百合さんからお返事が返ってきたから、お返事を返しているところ」

そして、あれから小百合さんとはちょくちょく連絡を取り合っている。
今度、食事に行く約束をした。

「へぇー。小百合とね…」

悠翔からしてみたら複雑な心境なのであろう。妻と元カノが仲良さげに連絡を取り合っているのだから。

「今度、小百合さんと食事に行くことになったから」

そう伝えると、嫌そうな顔をされた。そりゃそうだ。元カノと食事をすることを喜ぶ人がいるだろうか。

「ずるい。小百合ばっかり奈緒に構ってもらえて」

どうやら悠翔の機嫌が悪くなった原因は、別にあったみたいだ。

「私はいつでも悠翔を優先しているつもりだけど、悠翔には伝わってなかった？」

「ちゃんと伝わってるよ。それでも小百合に嫉妬しちゃうんだよ…」

悠翔が小百合さんに嫉妬…。なんだか嫉妬している悠翔がより一層愛おしいと思った。

「悠翔、可愛い。小百合さんに嫉妬してるんだ」

「奈緒に関しては誰であっても嫉妬しちゃうよ。一人で昼間出かけるのも心配だし、できれば他の人と接してほしくない」

ってきり悠翔は、嫉妬や独占欲といった感情からは無縁だと思っていた。
悠翔が私に向けてくれる感情が、私にとっては嬉しくて。愛されていると実感することができる。

「そうなの？悠翔って意外に独占欲が強いんだね」

「強いよ。悪いか？」

悪くない。悠翔の想いが私を肯定してくれる。

「悪くないよ。寧ろ嬉しい」

好きな人にこんなにも想われて、嫌な人なんていない。

「奈緒は逆に嫉妬したりとかしないの？」

嫉妬しないわけがない。私だって人並には嫉妬する。

「嫉妬するよ。小百合さんのことは嫉妬したもん」

嫉妬したから、走ってあの場を走り去った。居ても立っても居られなかったから。