雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
兄弟がいるのが当たり前な身としては、兄弟がいないことが想像しづらい。
私の場合は異性の兄弟だったため、同性の兄弟の人が羨ましかった。
一人っ子の悠翔さんからしたら、兄弟がいるだけで有難い話だが…。
人はないものねだりなところがある。隣の芝生は青いということだ。

「悠翔さんは一人っ子なんですね」

「実はそうなんだよ。兄弟がいないのは寂しかったけど、その分親には何でも新しい物を買ってもらえたりしたからよかったけどな」

それはそれで羨ましい。同性同士の兄弟の場合はそういうわけにはいかない。下の兄弟が上の兄弟からお下がりをもらうことになる。
しかしうちみたいな異性の兄弟だとお下がりがないため、新しい物を買ってもらえる。
そういう意味では一人っ子と何ら変わらないかもしれない。ただ兄弟がいるという点で恵まれている。

「確かにそういう点では一人っ子も悪くはないですよね。兄弟がいるに越したことはないですけどね…」

兄弟がいないよりは、いた方が毎日楽しかった。
大人になった今は弟と接点がないので、いないに等しいが…。
それでも兄弟がいるというのは心強い。

「奈緒がお姉ちゃんか。弟くんが羨ましいな…」

何が羨ましいのか分からないが、悠翔さんは姉に夢を抱いているみたいだ。

「そうですかね?悠翔さんは姉が欲しかった感じですか?」

誰しも異性の兄弟には夢を見るものだ。私もイケメンのお兄ちゃんが欲しかったと何度夢見たことか。
弟は弟で何でも私の言うことを聞いてくれたので、それはそれで悪くはなかった。

「姉に憧れがないといえば嘘になるけど、それ以上に奈緒が姉だったら弟さんも心強いだろうなって思って」

つまり悠翔さんは私が姉であることに意味があって。姉自体にそこまで強い興味はないみたいだ。

「それはどうでしょうか?弟に聞いたらそんなことないって言うと思いますよ。でも悠翔さんにそう言ってもらえて光栄です」

「でもやっぱり奈緒が姉は嫌だな。夫婦にはなれないから」

悠翔さんがサラッと爆弾を投下してきた。この人は無自覚に人をドキドキさせる。
その無自覚な天然タラシにどれだけ人が振り回されているのか、悠翔さんには自覚してほしい。
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