雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「…そうですね。夫婦にはなれないですね」

自分にとって都合の良い契約結婚の相手がいないと困る…という意味なのは重々承知だ。
それでも悠翔さんは私と夫婦でいたいみたいだ。私も悠翔さんと夫婦でいたい。相手が悠翔さんだから偽装だったとしても結婚した。

「だろ?だから奈緒とは兄弟じゃない方が良い。でも子供の頃は兄弟が欲しかったけどな」

私も弟がいなかったらそう思っていたかもしれない。
でもそれ以上に悠翔さんが兄弟じゃない方がいいと言ってくれたことの方が、私には嬉しかった。

「ですね。私も本音を言えばイケメンの兄か、優しい姉が欲しかったです」

自分が上の兄弟なので、どうしても自分よりも上の兄弟に対しての憧れが強い。

「イケメンの兄ね。イケメンってことが大事?」

さり気ない発言を悠翔さんに拾われてしまった。
改めて指摘されると恥ずかしい。自分の不純な動機が露呈して…。

「大事…と訊かれると大事ですね。…ってもうこの話はスルーしてください」

自ら振った話題だが、もうこの話は終了してほしかった。
これ以上聞かれるのは、あまりの羞恥に耐えられそうになかった。

「気持ちは分かるよ。俺もそういう夢は見たからね」

悠翔さんは私に話を合わせてくれた。一体、悠翔さんがどんな夢を見ていたのか気になる。

「そうだったんですね。ちなみにどんな夢を…?」

「そりゃ俺も男ですから、淡い夢を思春期の頃は抱いていましたとも」

具体的なことは誤魔化されたが、きっとその夢は色欲にまみれた夢であろう。

「ちなみに姉と妹ならどっちがほしかったですか?」

「その問いは悩ましいな…。うーん…、俺は姉がほしかったかな」

先程の話ぶりから察するになんとなくだが、悠翔さんが年上女性を好きなことは分かっていた。
悠翔さんの気持ちも分からなくはない。綺麗な年上なお姉さんに優しく…なんて女性の私でも夢を見てしまう。

「へぇーそうなんですね。分かりますよ。年上のお姉さんに優しく色々教えてほしいですよね」

男女共々、年上に夢を見るみたいだ。子供の頃は歳上というだけで魅力的に感じた。
今は年齢ではなく、中身が大事だ。中身が素敵な人がとても魅力的に感じる。
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