雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「そういう奈緒はイケメンのお兄ちゃんにどんな夢を見てたんだよ」

私だけ逃げるのは許さない…と言わんばかりに追求された。
流石に悠翔さんだけに答えさせて私だけ答えないというわけにはいかない。

「お兄ちゃんに優しくされる夢を見てましたね。例えばコンビニで欲しい新作のアイスを買ってきてくれるとか…そんな感じです」

さすがにお兄ちゃんで恋愛感情を抱く夢は見れない。弟がいるので男兄弟に対するそういう感情は全く抱けない。

「なるほど。それはいいな。俺もそういう兄なら欲しかったかも」

悠翔さんが共感してくれて嬉しかった。自分の夢を否定されずに受け入れてもらえたから。
少し想像してしまった。悠翔さんが兄の姿を。絶対に優しい兄の姿が想像できた。
そういう意味では悠翔さんは理想の相手かもしれない。そのことに気づいた瞬間、悠翔さんのことを意識してしまう…。

「奈緒?どうした…?」

突然黙り出した私を不思議に思ったみたいで。悠翔さんが声をかけてくれた。
私は慌てて答えた。悠翔さんに心配かけないように…。

「大丈夫です。ちょっとぼーっとしてただけです」

想像して意識してしまったことは悠翔さんにバレたくない。
どうにかバレないように誤魔化したが、きっと悠翔さんにはバレているはず。
それでも悠翔さんはスルーしてくれると信じた。

「そっか。眠かったら寝てても大丈夫だぞ」

逆に気を遣わせてしまった。悪いことをしてしまったなと反省した。
正直に答えることにした。恥を偲んで…。

「眠いわけじゃないです。その…今から変なことを言いますけど大丈夫ですか?」

「変なこと?大丈夫だよ」

「悠翔さんが兄だったら優しいだろうなって想像してただけなんです。それを悟られたくなくて誤魔化しました。ごめんなさい…」

正直に答えてしまった。あまりの恥ずかしさに穴があったら隠れたいと思った。

「そう言ってもらえて嬉しい。ありがとう。でも俺は兄ではなく旦那だよ?」

そんなの分かってる。私だって兄は嫌だ。
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