雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜

「奈緒、おはよう…」

そんなタイミングで悠翔さんが目を覚ました。まだ眠そうな様子。
それでももうお昼近いので、昼食も兼ねて目を覚ましたのであろう。

「悠翔さん、おはようございます。ご飯、用意しますね」

一旦、スマホの画面を閉じ、昼食の準備に取り掛かった。
最近、悠翔さんが仕事で疲れているので、精がつくものを食べさせたいと思い、スタミナ丼を作ることにした。
豚肉とニンニクを使って料理をしていく。これで少しでも悠翔さんの日頃の疲れが取れるといいなと思う。
そんな思いを込めて調理をして十分程度で料理が完成した。一緒にスープとサラダも用意したのでそれもお皿に装っていく。

「はい、悠翔さんどうぞ」

悠翔さんの前に差し出す。すると悠翔さんはすぐに飛びついた。

「美味そう…。いただきます」

悠翔さんが食べている間に、自分の分も用意する。
自分の分の用意ができたら一緒に食べるために、ダイニングテーブルまで運び、一緒に食べ始める。

「いただきます…」

自分で作っておいてあれだが、作っている最中からもう匂いで美味しそうだと思っていたので、食べるのが楽しみだった。
いざ口に含んだ瞬間、あまりの美味しさに感動し、「…美味しい」と声に漏らしてしまった。
ふと悠翔さんの反応が気になった。悠翔さんのお口には合っただろうか？合っているといいな…。

「あの…、悠翔さん、お口に合ったでしょうか？」

恐る恐る聞いてみる。もしお口に合っていなかったら申し訳ない気持ちで胸がいっぱいだ。

「美味しいよ。奈緒が作ってくれる料理はいつも美味しい」

悠翔さんにそう言ってもらえて嬉しかった。これからも悠翔さんに美味しいものを食べてもらえるように、料理の腕を磨こうと思う。

「それならよかったです。悠翔さんにそう言ってもらえて光栄です」

単純かもしれないが、悠翔さんに褒めてもらえたことで自信が湧いてきた。
なかなか社会に踏み出せない自分に落ち込んでいたので、勇気をもらえた。
悠翔さんのお陰で前向きな気持ちになれた。なんだか今なら仕事探しも頑張れそうだ。