雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
しかし悠翔さんの帰りは遅かった。
悠翔さんが帰ってきたのは夜の二十二時を過ぎていた。

「おかえりなさい」

玄関の鍵が解錠され、扉が開く音がしたので、玄関まで行き、悠翔さんを出迎えた。
一体、悠翔さんはこんな時間まで何をしていたというのだろうか。
気になるが、これ以上踏み込んではならない。私達の関係は本物の夫婦ではないから。

「ただいま。まだ起きてたんだね」

帰りが遅い日は先に寝ててもいいと言われたが、事前に帰りが遅くなることを聞いていなかったため、悠翔さんの帰りを待っていた。
だけど悠翔さんは夕飯時を過ぎても帰ってこなかったため、先にお風呂と夕飯を頂いた。
せめて一言欲しかった。夕飯は外で食べるからいらないよって。
悠翔さんを喜ばせようと思って夕飯の支度をしていたので、食べてもらえなかったことに落胆した。

「悠翔さんがいつ帰宅するのか分からなかったので。でももう寝ます。おやすみなさい」

さすがにこの時間なら夕飯は外で済ましてきているであろう。
悠翔さんのために作った料理は、明日の私の昼食にするとしよう。
気持ちを切り替えて、また今度一緒に食べてもらえばいいことにした。

「おやすみなさい、奈緒」

お互いにそのまま自室へと戻り、もう遅いので寝ることにした。
明日も朝早いので、早く寝ないと起きれそうにない。
ベッドに入り、目を瞑るが、全然眠れない。心の中がざわついている。
結婚して生活に余裕が生まれたはずなのに、結婚する前とあまり変わらないのはどうしてだろう。
悠翔さんが仕事で忙しいのもあるが、それぞれ自室で別々に過ごすことが多いので、食事の時間以外は悠翔さんと一緒に過ごすことはない。
最初はそれでもいいと思っていた。次第に悠翔さんと一緒に過ごしたいと思う気持ちが芽生えた。
契約結婚の身分でそんなことは言えない。私の我儘がもし、悠翔さんに知られてしまったら契約を解除されてしまうかもしれない。
自分の気持ちを誤魔化しながら、家事をこなしていく。次第に家事も手早くこなせるようになり、心にも時間にも余裕が生まれてきた。
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