雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
*
「…奈緒、大丈夫か?」
悠翔さんの声が聞こえる。どうして悠翔さんが…?
状況が上手く飲み込めていない。これは一体…。
「悠翔さん、どうして居るんですか?」
目の前に悠翔さんがいるということは、悠翔さんは仕事を終えて帰宅したということであろう。
まだ夕飯の支度をしていない。これでは契約違反だ。急いで支度をしないと…。
「今日は早めに仕事を終えたから帰宅したんだ。それで奈緒、何があったんだ?こんな床に倒れ混んで…」
そういえば私、倒れてそのまま意識を失って…。
どうやらずっと意識を失っていたみたいだ。
「すみません。ちょっと疲れてそのまま床で寝ちゃったみたいで。今、退きますね」
いつまでも床に寝転がっているわけにはいかない。まだ夕飯の支度をしていないので、今から夕飯の支度をしなくてはならない。
慌てて身体を起き上がらせようとすると、悠翔さんが私の顔を覗き込んできた。
「奈緒、無理してないか?大丈夫か?」
私の体調を心配してくれているみたいだ。
私はこれ以上迷惑をかけたくないと思い、倒れたことは言わないでおくことにした。
「大丈夫ですよ。休んでいただけですから」
「それでも奈緒の体調が心配だ。手貸して」
悠翔さんにそう言われたので手を貸すと、近くのソファまで導いてくれた。
「ありがとうございます。ソファまで連れてきて下さって…」
「そんなことより本当に大丈夫か?目が腫れてるぞ」
自分の目が腫れるほど涙を流していたとは知らなかった。
まさか目が腫れていたなんて…。隠す前に隠せてすらいなかった。
「泣いてたのか?どうした?」
迷惑をかけたくないと思えば思うほど、余計に心配させてしまう。
心配されることが怖い。ずっと隠していた感情が溢れ出しそうで。
ずっと抑えていた感情が堪えきれなくなって。感情が涙として溢れ出た。
「何もないですよ。寧ろ何もないから涙が止まらないんです……」
ずっと誰かに話を聞いてほしかったのかもしれない。
もう疲れてしまった。自分の心と向き合うことに…。