雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「…ぷはー、うめえーな」

お風呂上がりのビールは格別だ。乾いた喉を潤してくれる。

「美味しいですね。久しぶりにお酒を飲みました」

最後にお酒を飲んだのはまだ社会人をやっていた頃。仕事の付き合いで仕方なくお酒を飲んでいた。
元々そんなにお酒を飲む習慣はなく、付き合いで飲むのが殆どで。
仕事を辞めて引きこもりになってからは、お金が勿体ないためお酒を飲むことはなかったので、久しぶりのお酒に感動した。

「え?そうなのか?それじゃこれからは定期的に二人で一緒に飲もうよ」

今まで二人で一緒に過ごす時間なんて食事の時ぐらいだったのに、こうして一緒に過ごせる時間を約束することができて嬉しかった。

「はい、是非。一緒に飲むのが楽しみです」

「今も一緒に飲んでるから楽しいだろ?」

確かに悠翔さんの言う通りだが、私が言いたいことはそういうことではない。

「今も楽しいですけど、これから悠翔さんと一緒に過ごせる時間が増えるのかと思うとそれが嬉しくて…」

悠翔さんに迷惑をかけてしまうかもしれないが、私は悠翔さんともっと一緒に居たいと思っている。
だから私としては、悠翔さんと一緒に過ごせるだけで幸せだ。

「俺も嬉しいよ。奈緒と飲むの楽しいから」

悠翔さんに他意がないと分かっていながらも、悠翔さんの言葉一つひとつに私の心は反応し、更に悠翔さんに惹かれていく。

「奈緒って結構飲める口?」

私がどのくらいお酒を飲めるのか、悠翔さんは気になっているみたいだ。
私は正直に答えた。自分がどのくらいお酒を飲めるのかを。

「そうですね、あんまり強いお酒は飲めないです。甘くてジュースみたいなお酒かビールぐらいしか飲めないです…」

悠翔さんをがっかりさせてしまったかもしれない。
でも嘘をついて無理をするくらいなら、その方が悠翔さんに迷惑をかけないと思い、正直に答えた。
< 59 / 151 >

この作品をシェア

pagetop