雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「このドレッシング美味しいな…」

少しお高いドレッシングを購入し、かけさせてもらっている。私なりのプチ贅沢だ。

「美味しいですよね。なくなったらまた買いましょう」

二人暮らしなので、そんなにすぐになくなることはないはず。
それでもまたこのドレッシングをかけてサラダが食べたいと思ったぐらい、このドレッシングが美味しかった。

「そうだな。また買おっか」

他愛のない会話を終え、次はいよいよ本命のハンバーグ。
作り慣れているとはいえ、悠翔さんに食べてもらうとなると緊張する。
悠翔さんがハンバーグを食べる様子を見守る。悠翔さんのお口に合うか心配だ。どうかお口に合いますように…。

「奈緒、ハンバーグめっちゃ美味しい!」

心配が杞憂で終わって安堵した。それと同時に悠翔さんに美味しいと言ってもらえて嬉しかった。

「本当ですか?良かった。お口に合ったみたいで」

「奈緒の料理はいつも美味しいよ。俺の好みの味付けで美味しい」

ただ美味しいと言ってもらえるだけでも嬉しいのに、好みの味付けと言ってもらえた。
私はまだ悠翔さんの食の好みをまだよく知らない。それなのに私の味付けが悠翔さんの好みと合った。
それってつまり悠翔さんと食の好みが合うってことだ。偶然の奇跡に勝手に運命を感じた。

「それなら良かったです。悠翔さんの好みに合ったみたいで」

これからも悠翔さんに美味しいと思ってもらえるように、料理の腕を磨いていこう。
…なんて呑気に思っていた矢先の出来事であった。

「そうだ、奈緒。来週の金曜日に俺の友達が遊びに来たいって言ってるんだが、大丈夫か?」

この家に住み始めて、今まで来客が訪れたことはなかった。
だから油断していた。もう誰とも会うことはないと思っていた。

「私は悠翔さんさえ良ければ大丈夫ですよ」

「急でごめんな。友達が突然、家に遊びに行きたいって言い始めて。俺と奈緒が契約結婚だってことは知らないから、友達は普通の結婚だと思ってる」

お互いに契約結婚であることは他者に漏らしてはならないと契約で定められている。
だからこそ少しでも誰かにバレるリスクは背負いたくない。できれば避けておきたかった。
だけどここで断ると逆に怪しまれるので、会わないわけにはいかない。
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