尽くし系女子は再会した幼馴染に甘やかされる~恋なんてもうこりごりだと思っていたはずなのに~
 先ほど注文した料理たちが運ばれてくる。お姉ちゃんはからあげをつまみつつ、私を見つめる。

「少しゆっくりしたらいいんじゃない。今は無理するときじゃないって」
「……お姉ちゃん、責めないの?」
「なんで?」

 私の言葉に、お姉ちゃんはぽかんとしていた。

 けど、すぐに意味がわかったらしく、うなずく。

「私に責める権利もないしね。別れたほうがいいっていうのは一種のアドバイスだし、受け入れるも拒否するも本人の選択でしょ」

 あっけらかんと話しつつ、お姉ちゃんは私の口にフライドポテトを押し付けた。

「とにかく、食べて飲んで忘れちゃえばいいのよ。そんな浮気男のことなんて」
「……そうだよね」

 納得した風に言うけど、心は納得できていなかった。

 浮気されたのは私のなにが悪かったんだろうとか、私はいつになったら私だけを愛してくれる人と出逢えるんだろう――とか。

 そんなことを考えると、苦しくなってしまう。

 お姉ちゃんと話しながら飲んでいると、ある程度酔いが回ってくる。塩味の焼き鳥をつまみつつ、私はいい気分になっていた。

「しばらく恋なんていらないや」
「うん、それでいいんじゃない」

 にぎわってきた店内は、騒がしい。この喧騒が、ある意味私を楽にしてくれた。

 静かな場所にいたら、きっと爽弥のことを思い出してしまうだろうから。

 四杯目のレモンサワーが届く。私がジョッキに手を付けようとしたとき、店内の扉が開いた。

「いらっしゃい!」

 オーナーの元気な声が聞こえる。

「あ、陽翔(はると)くん、こっちこっち!」

 聞きなれた名前に、私は自然と顔を上げた。

「こんな時間に呼び出して――」

 先ほど入ってきたお客さんと視線が合った。

 相手が私を見て驚いている。私もきっと、驚いている。
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