尽くし系女子は再会した幼馴染に甘やかされる~恋なんてもうこりごりだと思っていたはずなのに~
 お姉ちゃんは実家から二駅離れた閑静な場所に住んでいる。旦那さんと一歳になる娘ちゃんとの三人暮らしだ。

 元々は会社員として働いていたお姉ちゃんは、妊娠を機に仕事を辞め、お母さんが経営している雑貨屋を手伝うようになった。なんでも、こっちのほうが子どもとの時間がきちんととれるから――ということだ。

 実家の近くにある個人経営の居酒屋にたどり着くと、時刻は六時五十分だった。少し早いけど、中で待っていようと扉を開ける。

「いらっしゃい! ――って、紗菜ちゃん?」
「はい。ご無沙汰です」

 軽く頭を下げて、店内に入る。お客さんはカウンターに二人。テーブル席に一組。

 七時半からが本番なので、いい時間に来たかも。

「久々だねぇ。スーツケースなんて持ってどうしたの?」
「しばらく実家に帰ろうかなぁって」

 カフェでお母さんにメッセージを送ると、家に泊まることを快く了承してくれた。ありがたい。

「そうなんだね。今日は誰かと待ち合わせ?」
「もうすぐお姉ちゃんが来るよ」
琴美(ことみ)ちゃんと会うのも久々だわぁ!」

 私は二人掛けのテーブル席に着く。アルバイトらしき若い女の子にとりあえずとレモンサワーを注文する。

「あと、からあげとフライドポテト。焼き鳥もお願い」
「かしこまりました!」

 女の子はてきぱきと働いている。若いっていいなぁと、年寄りじみたことを考えた。

 手を拭いていると、カウンターからオーナーの女性が出てくる。
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