獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
彼らから情報を引き出せるチャンスだと思い、慎重に質問をしていく。
男はギロリと背筋が凍りそうになるほどの視線を向けながら語った。
「…皇は人殺しの血が入ってる。 俺たちの大事な柚木さんの命をあいつらは奪ったんだ」
「隼太くんが、人殺し…?」
しかも柚木って…どこかで聞いた名前。
首を傾げてる間にまた男は話し続ける。
「まだ黒金会が北と南で分かれていなかった時、柚木さんと皇の父親が組長候補にあがって揉めた。 皇の父親は、柚木さんの妻を殺したんだ」
その後、“柚木さん”も隼太くんたちによって命を奪われたと男は続けた。
仮にそうだったとして、何故隼太くんのほうが黒金会を拒絶しているのかが疑問に残る。
そして、今までにないほどの冷めた瞳…この男は自分が恨んでいることしか話していなくて、事の全部を私に話しているわけじゃない。
今わかっているのは、黒金会は北と南で分かれてしまって、北が隼太くんの父親、南がこの男で対立していることだけ。
北の鳳凰、南の青鷺火と似てると感じた。