獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
その言葉と同時に、隼太くんの顔が視界いっぱいに迫って唇が重なった。
何度も何度も角度を変えて。
そして、想いが通じるのを待っていたかのように、最後の薔薇の花びらが散った気がした。
「七瀬、口開けて?」
「...?」
言われるがままにすると、触れるだけのキスではなくて深い...オトナのキスにかわる。
恥ずかしさと息苦しさに身を捩らせれば、逃がさないとでもいうように隼太くんが私を引き寄せた。
「ちゃんと応えられるのえらいね」
「...っはあ」
「かわいい七瀬」
強引だけど優しくて...悲しくないのに恥ずかしさと、嬉しさで一筋の涙が頬を伝った。
仕上げにリップ音を奏でて唇が離れる。
.....いきなり口開けてなんて言うから、
「た、食べられちゃうかと思った...っ、」
「...はあー、ほんとにお前無自覚で煽ってくるよね」
「へ?」
長いため息と心底呆れたような表情に戸惑ってしまう。
な、なんで?
ほんとのこと言っただけなのに...!
ぱたぱたと熱くなってる顔を手で仰いでいると、また声をかけられる。
「ねえ、その本ずっと持ってたみたいだけどもう読んだの?」
「うん、買ってもらって良かった。 これを読んだから私は、隼太くんに真っ直ぐ向き合って話せたの」