獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
本を閉じてまた両手で抱え込んだ。
これも私にとって勇気をくれる大切な本になったから。
「七瀬おいで、俺の看病で寝てないでしょ。一緒に寝よ」
「え?大丈夫だよ!隼太くんこそ本調子じゃないからゆっくり寝て」
「いーから、俺がお前と寝たいの」
そう言いながらいつの間にか私は、隼太くんの抱き枕となっていた。
...この感じすごく懐かしい。
いつも寝起きの悪い隼太くんを起こしに行くと、こうやって引きずり込まれてしばらく解放されないのだ。
「んもう、隼太くん強引なんだから」
「そんな俺が大好きなんでしょお前」
「...っ、は、恥ずかしいからそれ以上言わないで!私も寝る、おやすみ!」
「ははっ、ほんとかわいーね。おやすみ七瀬」
これ以上は聞こえないふりを貫き通して、やり過ごそうと思ったけど気づくないうちに疲労は溜まっていたらしい。
隼太くんの体温と匂いに安心感を覚えて、私は意識を手放していた。
「七瀬、俺を見てくれてありがとう。 お前だけは絶対に手放さない、必ず守る」
そんな彼の言葉が聞こえず、ぐっすり眠り次の日...一緒に寝ているところを先生や、看護師さん、それから鳳凰幹部の人達に見られてしまうのである。