獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める



───しばらくして、

ベッドで寝ている隼太くんが口を開く。



「ねえ、そういえば...七瀬のおすすめの本聞かせてよ」


「もちろん!私の大好きな本が部屋にあるから、持ってくるね」




速足で自分の部屋へ向かい、いつでも読めるようにと机の上に置いていた、1冊の本を片手にまた隼太くんのもとへと急いだ。


ベッドの横にある椅子に座って表紙を開く。



「お待たせ。 この本はね、ルミナス~双子の王女と7人の騎士団長~っていう名前で、ファンタジーな恋愛系なの」


「へえ? ファンタジーって魔法使えるとか?」


「そう、この世界は誰もが魔法が使えて、ルベライトとかムーンストーンのような宝石を、この世界では魔法石って呼んで強い力が込められてるんだって」



それだけでも面白いんだけど、私が惹かれたのは主人公でもある女の子に憧れをもったから。


今では見かけると、可愛いと言って注目を浴びる双子は昔、不吉と言われていたらしい。


その時代がモチーフにされていて、双子の姉は幼い頃から『災いを齎す双子の姉』と言われ忌み嫌われていた。



なんでかって、彼女が人と関わるとその人に不幸が起きるから。

国中にその噂は広まって、孤独に生きていた彼女にある騎士団長が現れてやがて恋仲になるところまでが描かれている。



彼女に寄り添う騎士団長も、優しくて強くて素敵なんだけど、女の子がほんとに私が大好きで!



女の子は生まれた時から強い力を秘めていて、王国が襲われた時に、その力を民のために救える命を全て救ったの。


どんな絶望の中でも、最後まで誰かのために動く彼女が私の憧れ。


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