獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
──数日後
朝起きて、私はいつものように学校へ行く準備をしていた。
事件は突然起きる。
突然のエンジンの爆音に、響きわたる悲鳴。
窓から覗くと校舎に、白いジャケット、背中には大きな青い鳥を背負ったように刺繍…青鷺火の大軍が迫っていた。
「隼太くん…!」
「大丈夫、わかってる」
言いながら振り返ると、いつの間にか隼太くんも背中に黄色い伝説の鳥を背負った、黒いジャケットに袖を通している。
「だ、だめ!隼太くんは絶対安静なんだよ!?」
「だけど、攻められてる」
「私は隼太くんを絶対に、ここから出せない」
出入口のドアに走って、背に隠す。
隼太くんは無意識に無茶をするから、完全に治るまで何とか安静にしていて欲しい。
でも、彼がそんな私のお願いを聞いてくれる訳もなくて、そっと肩に手を置いてどかそうとする。
「行かないで…っ! 隼太くんが強いのはわかってるつもりだけど、これ以上傷ついてほしくない」
「七瀬、俺は北高校鳳凰の総長。 仲間の他にも、一般生徒が襲撃にあってる。このまま見過ごせない」
「せめて今、様子を見ている晴人くんたちが戻ってからにして…」
隼太くんは、一人で敵陣に乗り込むつもりだと思う。
無理をする彼を私は知ってる。
北高がパニックに陥っていて、南高はそれで油断をしている隙に、柚木くんのところまで突っ込む算段だ。