獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
「あいつの好きな物って言ったらおまえだろ」

「その前まで、なんにも興味なかったもんね」

「逆に俺らよりななの方が知ってそうだけど」



晴人くん、輝くん、颯くんそれぞれ考えてくれるけど、やっぱり隼太くんは自分に無頓着で話してくれない。



「じゃあ、ななが歌でもプレゼントすれば?」

「あの、あんまり言いたくないけど私、音痴なの」

「へえ、今歌ってみてよ」

「やだよ…!絶対颯くん笑うじゃん」


笑わねえよって言ってるけど、なんにも考えずにここ野獣の檻と呼ばれるところにいる訳じゃない。


このパターンは、私を盛大に褒めて歌うように仕向けて3人で笑う、そんな未来が見えている。


今日はぜーーったい引っかからない。


なにせ、私の音痴は相当ひどいものでカラオケなんて友達と行ったら公開処刑だ。


「というか、颯くん。ふざけてるでしょ?」

「バレた?」


バレたって言ってるけど全然隠す気なくて、ポンコツと言われる私でもわかる。


そして、その後しゅんとした子犬フェイスで謝れば、私が許すことも彼は計算済みなのだ。


本当にあざとい。そして私はこの顔に弱い。



「ななせがなんで音楽の成績が、異常に低いのか今わかった」

「もしかしてベル候補を選ぶ時、成績まで調べたの…?」

「あたりまえだろ」


…何となく予想はしてたけど、せめて知らないふりしててほしかった。

周りの女の子友達は、みんな歌が上手くてピアノを習ってる子もいるから、みんなそれなりの成績に対して私は…


たまーに、居残り招集されて見逃してもらっている。
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