獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
鳳凰の総長はみんなが知っているような噂しか知らないし、その噂を信じているわけでもない。
もうひとつのベルに関しては全く知らない。
なのに私の返答次第では、私も倒れている彼も無事では済まない。
わからないことを正直に言えば帰れるか、それとも強行突破か。
今の状況だと、後者はかなり難しい…。
「おーい聞いてる?」
「…ごめんなさい。お会いしたことないのでわかりません」
「嘘だよね?北高の生徒なんだからあるだろ」
気づけばスキンヘッド男の仲間が物陰からぞろぞろ出てきて、あっという間に囲まれてしまう。
これ以上彼が暴力を振るわれたら…。
庇うように前へ出て精一杯目に力を込めて睨む。
「その子に聞いてもだめっすよ。可愛い顔してるし、遊んでやりましょうよ」
「それもそうか」
男たちはどんどん私に迫ってきて、金縛りにでもあったかのように身体が動かない。
「やめてください」
「強気なのいいね〜。こーゆー子を泣き叫ぶまで遊ぶのたまんないんだよね」
「痛い…っ離して…!」
私の両腕を男達は立たせるように上へ引っ張り、足が宙に浮く。