獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める


「次に副総長の安西晴人くん。普段は極度の面倒くさがりだけど、いざとなった時のあの人は頼りでものすごく強い」



初対面から私を読書ばかと呼び、振り回された人。

そして、隼太くんの寝起きの悪さを知っておきながら、耳が悪いからなどと嘘ついて起こしに行かせた意地悪。



晴人くんは、書店から旧校舎まで移動した時に話したから今のところ1番よくわかっているつもり。


自分を含めて幹部は全員“獣”という。




「最後は、総長の皇隼太くん。絶対の権力で一切の情けをかけず、誰に対してもさほど興味を示さない孤高の存在なんだ。だから、ななは特別だよ」



情けをかけない孤高の存在か、噂だけでなく一緒にいる颯くんまでそう思うんだ。



確かに初めて会った日、圧倒的な存在感で一瞬にして空気が変わった。



晴人くん同様、自分を獣だと思う彼にはそう思わせた原因があるんじゃないかって考えちゃう。



今日の朝の出来事、恥ずかしいからあまり思い出したくないけど…私をからかう隼太くんは楽しそうに笑っていた。


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