獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
「久しぶりじゃん、隼太くん」
「だれお前」
「おいおい、かつての“仲間”を忘れるなんて酷いな」
な、に…この押しつぶされそうな空気。
隼太くんから感じる殺気のようなオーラに、いつも以上に威嚇するような低い声。
私にもわかる。
隼太くんがスーツの男たちを明らかに“拒絶”していることを。
「いい大人が青鷺火を使ってるなんて情けないね」
「その生意気な態度、昔から変わんねえな」
話を聞いて状況を理解しようと思うけど、彼らが何者なのかが全くわからない。
ただ、隼太くんを昔から知っていて彼は嫌っている…。
獣と呼ばれてトラウマを抱えているのも、この目の前にいる男たちが関係しているのかも。
1回落ち着こうと深呼吸しようとすると、目の前にいるスーツの男たちのリーダーらしきし人が私に視線を移す。
「へえ、それがベル? 美人じゃん、お前がいなくなってもそいつは黒金会で預かるよ」
「くろがね、かい……」
て、噂に疎い私でも聞いたことある。
なんなら、両親に黒金会には気をつけてと幼い頃からずっと言われていた。
ニュースでも頻繁に耳にする極悪組織で、非人道的なことを当たり前のようにする。