獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める



私に交渉する男はある程度距離をとった状態で、隼太くんの位置からは気づけない。



この人も相当の策士で計算高い。



落ち着いて、彼のペースに乗らないようにしないと隼太くんの立場が危うくなる。



彼にバレないように、交渉するふりをして晴人くんたちが来るまでどうにか時間を稼ぎたい。




「どうして隼太くんを狙うの?」


「それはまあ、あいつの印象を悪くするから教えてもいいか。 黒金会の裏切り者だからだよ」


「嘘つかないで…っ」


「嘘じゃねえよ、本人に聞けよ」



隼太くんが、極悪組織の仲間だったなんて信じられない。


非人道的なこと隼太くんがするはずない。





森川くんや私を青鷺火から助けてくれたこと。


ベルの仕事を放棄して普段通りの生活を許してくれるところ。


私がお見舞いに行きたいって言わなくても、隼太くんは森川くんの様子を見に行ってた仲間思いなところ。



自分を獣と言うけど、無意識に隼太くんは優しさがある。



そんな彼がもし、黒金会にいたのだとしたら…


< 84 / 160 >

この作品をシェア

pagetop