獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
「あんたは全然わかってない。俺たちがあんたの存在にどれだけ救われているのか」
「私、なにもできてないよ」
「ほんとに鈍いよね、鳳凰幹部じゃなくて会った時から俺たち自身を見てくれてるだろ」
だから、隼太くんは私をベルとしてそばに置いて離さなかったんだと続けた。
鳳凰の幹部は愛を知らないって輝くんが言っていたのを思い出す。
愛に囲まれて生きてきた私の些細な接し方は、彼らにとっては救いだったらしい。
でも…、
「ベルを辞めたいって言って逃げてきたのに、今更戻れないよ」
「だから俺が迎えに来たんでしょ。ほら、行くよ」
私の手を引いてベンチから立ち上がらせてくれる。
そのあとに、颯くんが素早く背に隠した。
何事かと思ったけど、周りを見れば暗闇から1人、2人3人と男たちが出てくる。
「さっきは仲間がお宅の獣にずいぶんお世話になったらしいじゃん」
「それはこっちのセリフ。あんたらからふっかけてきたって聞いたけど?」
「俺たちはその小娘に用があるだけなんだよ」
「この子は何があっても渡さない」