救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
 必死に縋る彼らに対するルーファスの態度は、何かで気分を害しているのかひどく不機嫌だった。

 彼らが互いに見つめ合う、しんとして音がなくなった城の大広間の中で、サブリナは息を殺していた。

 胸の内はこの場から下がれるものならば下がりたい気持ちで一杯なのだが、何が起こっているのかさっぱり理解出来ず、どう振る舞うべきかがわからない。

(何なのかしら。もう……本当に意味がわからないわ)

「あの、大魔法使いルーファス様……そちらの……ラディアント伯爵令嬢とは……お知り合いでしたか?」

 国が滅ぶかどうかの崖っぷちにありへりくだった態度を見せる国王は、ようやくその時にルーファスの隣に肩を抱いたサブリナが居たと気が付いたのか、彼へ不思議そうに尋ねた。

「ああ。そうだ……彼女は」

「君からも、どうかお願いしてくれ!! アシエード国が滅亡するかどうかの瀬戸際なんだ!! ルーファス様に、ここで手を振り切られたら……もう後はないんだ!!」

「サブリナ……どうかこの国を救ってくださいと、お願いしてくれ」

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