救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
「どうか! ああ。どうか! お願い致します。国民たちをお救いください。このままでは、アシエード王国は滅亡してしまいます!」

「お願いします!」

「救ってくだされ……!」

「このままでは、国民全員がすべてを失ってしまう!」

 国王に続いて大臣たちも、必死の形相を見せて願っていた。

 いつのまにか踊るために奏でられていた軽快な音楽は止まり、周囲に居る貴族たちは、音もなく居なくなっていく。

 彼らの君主たるアシエード王国王が誰かに跪き願っている姿など、そのような場面を見るべきではないと考えたのだろう。

 その一員であるサブリナとて、自分もそうするべきだとは思うのだが、願われる側のルーファスは彼女の肩を親しげに抱いていて動けないのだ。

(どうしよう……どういう事? アシエード王国が滅亡するなんて、そんなこと……)

 サブリナにとっては、寝耳に水な話だった。そのような話は、今朝会ったばかりの父からも知らされず、こんなにも差し迫った様子を見せる彼らが信じられない。

「それは、僕には無関係な事だろう。勝手に滅亡してくれて構わない」

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