救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
「こいつか、魔界の扉の封印を解いた犯人は! それに……俺たちを救ってくださる魔法使い様に、なんということを!」

「そうだそうだ!」

「魔法使い様は、うちのばあさんの命も、助けてくれたんだぞ!!」

「なんという自分勝手な言い分だ!」

 気が付けば周囲には、館に居る使用人たち、それに近くの村民も集まっていた。

 モードレッドが使った攻撃魔法は、かなり派手なものも多く、その音や光などを見て駆けつけてきたのかもしれない。

「なんという奴だ!! 罰を受けろ!」

「縄で縛れ!! 王国騎士団に突き出すぞ!!」

「どうして、こんなことをしたんだ!」

「信じられない!!」

 呆気にとられていたモードレッドは、あっという間に縄でぐるぐる巻きにされて、村人たちに運ばれていった。それをどうにかしようと魔法を使う気力もなくしてしまっているのか、彼は悄然としていて去って行った。

 そして、それを少し離れた場所で見るルーファスは、どことなく嬉しそうだった。

(これまで、山奥で住んでいたというけれど、彼は人が嫌いという訳でもないものね……ルーファスは孤独だったんだ)

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