救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
 ルーファスは魔物に見つからぬように魔力を操作出来るようになってからも、人里離れた山奥で暮らしていたと言う。

 自分の存在で故郷がなくなってしまうというとんでもなく強烈な過去があるのだから、それは仕方ないことなのかもしれない。

「あの……ルーファス?」

「サブリナ……待ってくれ。これには、ちゃんとした訳があるんだ」

 近付いて彼の名前を呼んだサブリナに、ルーファスは慌てて言った。

(どういう訳があると言うの……だって、子どもの姿になって、私と一緒に居ただけだと言うのに。私が彼に会いたいと言ったけれど、それを黙っていたことを?)

 今考えれば確かに恥ずかしいが、それを彼にさせてしまったのは、サブリナだった。

「私……その、ルーファス。ごめんなさい。私……あの」

「ああ……ごめん。サブリナ。力業で押し切ったせいか、もう限界で……」

 ルーファスに対して今まで言えなかったことを勇気を出して話そうとしたサブリナは、突然ふらりと身体が倒れてしまったルーファスの身体を慌てて支えた。

「誰か! 誰か来て!」

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