救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
 そんな疑問が湧いて出て、どういう経緯で自分を恋人と呼ぶのかと、ルーファスに対し確認したいと思いつつ、やはりそれは躊躇われた。

 ルーファスは恋人であるサブリナの願いならば仕方ないだろうと言い、無関係なはずのアシエード王国を救ってくれることになったのだ。

(余計なことをしてしまって、気分を害し気が変わったと思われてもいけないわ……今は救ってくれると言ってくれている。私は彼の気が変わらないように、そう振る舞えば良いだけなのよ……)

 サブリナはルーファスに対し嘘をつき続けることには罪悪感があるものの、このままの現状を変えてしまうことで、彼の気持ちが変わってしまうことを恐れていた。

 自分の行動や言動にアシエード王国の存亡が掛かっていると思えば、サブリナは言葉選びにも慎重にならざるを得ない。


◇◆◇


 マッカーシー侯爵夫人のお茶会での話題は、専らアシエード王国を襲う危機についてだった。

 魔界の門の封印が解けてしまうかもしれないという話が広まったと同時に、大魔法使いが召喚され自分たちを救ってくれるという話も追うようにして広まった。

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