救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
(ルーファスはもしかして、貴族出身だったのかしら。けれど、もしそうならば、家名も名乗りそうなものだけれど……)

 世界に数人存在する大魔法使いはお決まりのように、名前のみでしか知られていない。

 実際にルーファスは『ルーファス』としか名乗らないし、誰も彼の家名は知らない。

 今はもう知る者も居ないほどの時代から生きて居るというのだから、本人に聞かない限りはルーファスがどのような生い立ちなのかを知ることは難しいだろう。

「ええ。ルーファス。今夜はこちらに、部屋をお借りしても……?」

「もちろんだ。ひどい雨の中で、馬が転んでしまってもいけない……君は僕の大切な人だからね」

「……ありがとうございます」

 意味ありげな流し目を受けても、サブリナは戸惑いつつ頷くしかない。

(やはり、ルーファスは私を誰かと、勘違いしているわよね……? 今はそれを確認するために、聞く訳にもいかないけれど、複雑だわ……一体、誰のことなのかしら)

「……先ほど、何か拡声魔法が聞こえたね。近くに行方不明の子どもが居るとか」

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