救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
 社交界デビューが遅れてしまった経緯を知るだけでも彼女の良き人柄がわかろうというもので、デビューが遅れたことで、サブリナへと興味を持つ紳士がより多くなったのだ。

 本来ならばすぐに嫁ぎ先が決まるような伯爵令嬢が、結婚式の用意をしようかという頃合いだというのに婚約者も未だ決まっていない。

 裕福な実家で多くの持参金を約束され人柄の良い美しい女性を、理想の伴侶としている彼らに声を掛けられない訳がなかった。

 サブリナを取り巻く白い手の持ち主たちは口々に彼女をダンスへと誘い、どうにか親密になろうと躍起になっているのだ。

 また、自分の他にも多数の好敵手(ライバル)が居ることが、より関心を得たいという男性特有の狩猟本能にも火を点けて、彼らは多数の紳士に囲まれ困っているサブリナを見たとしても決して引き下がろうとはしなかった。

(……ああ。どうしようかしら。この状況を問題なくあしらう……なんて、慣れない私にはとても出来ないわ。これから、一体どうすれば良いのかしら)

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