救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
「……簡易的に封印を施しているが、完全な封印が出来ていない。近くは王軍が駐在して居て、魔物が出て来れば討伐しているはずだが、それを運良くすり抜けて来たのだろう」

 ルーファスの言葉を受けて、サブリナはおそるおそる後ろを振り返った。そこには綺麗な断面を見せる石の欠片が無数に落ちていた。

「……石?」

 石が落ちている。

 先ほど聞こえた重い音も、ルーファスによって砕かれた石が地面に落ちていた音だったのだ。

「あれは、門番ガーゴイル。石で出来ている魔物の残骸だ。魔界の門、その程近くに住まう、魔界でも最弱に近い魔物で、だからこそ、今の魔界の門を抜けることが出来た」

「門番は……弱いからこそ、その隙間を抜けられると?」

「ああ。今は云うなれば、ほころびが出来ていて、小さな穴が無数に開いている網が門を覆っていると思ってくれれば良い。この前まで掛けられていた完璧な封印は、全く抜けのない物質で出来た球体で丸ごと門を包む。そうすれば、魔物は魔界の門を出て来られない」

「だから、ルーファスは……一時的な……簡易的な封印だと言ったのですね」

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