救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
「……君ってなんだか、貴族のくせに、とってもお人好しなんだね。お嬢様」

 両手を腰に当てたパックを見て、サブリナは微笑んだ。

「私は困った人には手助けをするようにと、育てられたわ。可愛い妖精さん」

 パックは窓辺に降り立って、遠慮なくクッキーに齧り付きながら言った。

「それって、|貴族の義務(ノブレスオブリージュ)のこと? 僕に言わせればくだらないね。持つ者が持たざる者に対し見返りも期待しない施しを与えるなんて、一方的で威圧的だと思わない?」

「あら……それでは、そのクッキーを返して貰おうかしら?」

 持つ者が持たざる者に対する施しというのであれば、今のサブリナとパックの関係性にも言えることだ。

「それとこれとは、まったく別の話だよ。僕らは貴族と平民でもなく、上も下もない関係性だ。そうだろう?」

 既に飲み込んでしまったクッキーは返せないと、パックはにやにやして首を横に振った。

「そうね……パック。無事で良かったわ。あの時、魔物が近づいていたのね」

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