救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~

19 助けを求める声

「……貴方たちは一体、誰なの?」

「名乗りたいのは、やまやまですがね。俺たちも仕事上での、信用問題が掛かっておりますので」

 それを聞いた周囲の男たちもどっと笑ったので、サブリナは下品な笑い声を耳にして眉を寄せて不快感を露わにした。

(殺し屋なのかしら……裏稼業の人たちに、私を捕らえるようにと、依頼した人が居るということ? けれど、私が亡くなって喜ぶ人なんて……)

 サブリナは高い身分を持つラディアント伯爵家の令嬢ではあるが、まだ社交デビューしたばかりで、これまで二年のほとんどを母の看病のため、領地の邸館(マナーハウス)で過ごした。

 だと言うのに、誰かに憎まれ、ましてや殺されてしまうような濃い人間関係なども思い浮かばない。

 父フレデリックの政敵なのかと思えば、彼の娘サブリナが亡くなればアシエード王国の滅亡は避けられない。名のある重臣であればそれを知っているはずだし、ルーファスが魔界の扉の封印を終わらせてもいない段階であればそれは考えづらい。

 サブリナの願いで救おうとしてくれているならば、サブリナが居なくなればどうなってしまうのだろうか。

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