救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
(どうしよう。どうしよう。ここで私が死んでしまえば、アシエード王国は滅亡するのよ。多くの人が亡くなり苦しむことになる。諦められない……いいえ。死にたくない。自分のためにも。絶対に死にたくないわ)

 亡き母ニコレッタがサブリナの結婚式のドレスを見られないと、嘆いていたことを思い出した。もう見せることは叶わないが、結婚式のドレスに身を包むまでは叶えたい。

(ああ。罪深い私をお許しください……こんな時にまで、また彼を利用するなんて)

 サブリナはひとつだけ、この窮地を抜ける方法を思いついた。

 けれど、心の中には大きな葛藤があった。本当の恋人でもないのに願いを聞き入れてくれる彼を、またここで利用することになる。

「……ルーファス。ルーファス! 助けて! 助けて!」

 サブリナは声の限りに彼の名前を叫んだ。

 だが、森のどこからかのどかな鳥の鳴き声が聞こえるばかりで、黒衣の大魔法使いの姿は現れない。

(ああ……そんな)

 必死な叫び空しく、助けは現れない。追い詰めた獲物の決死のあがきに男たちは笑い、サブリナへと範囲を狭めて近付いて来た。

「ルーファス!! 助けて!!」

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