この5人が世界をすくうーー!?

+プロローグ+

この世界では、必ず生物1つに“能力”が与えられる。
 能力は様々。役に立つものもあれば、立たないものだってある。
 しかし、全く同じ能力とか、能力が被ることはなくて、1人1つ世界1つの能力となる。そしてまた、能力をもたない者はいない。
 1人の人間を除いて――。
 その人間の名はなそでい。中学2年生の女の子で、黒いポニーテールが特徴。
 彼女はいたって平凡で、他の女子学生と同じだった。しかし、1つだけみんなと違うところがあった。それは、能力が分からないことだ。ほぼ全生物は、生まれた時から判明するものだが、彼女にはなかった。いや、あるのかもしれない。
 家族はというと、両親も能力をもっているし、妹だってもっている。祖父母だってもっている。じゃあなぜ、なそでいだけ分からないのだろう?病院で色々と試してみても、何も起こらない。これには、両親も医者も頭を抱えた。この世界では能力があることが常識、当たり前なのだ。両親や医者は、不安を抱えていた。
 しかし、問題はそこだけだった。なそでいはすくすくと成長し、友だちもでき、能力以外は何も問題なかった。体も健康だし、体力だってある方。勉強面もまあいいし、何も両親が心配することはなかった。別に能力中心で回っているわけじゃないし、気にしない人の方が多かったから。前までは、だけど。この世界の名は超力(ミラクルパワー)という。
 人間の住む地球とほぼ一緒だが、ちょっと違う。ずっと言っているとおり、ここでは“能力”というものがある。さっきも言ったとおり、前まではそんなに重視されていなかった。みんなもっているけど、たまに使うぐらいだし、能力で決めつけられるカンジではなかった。学校でも能力について学ばないし、人の話にもほぼ出てこない。こんな世界だったから、なそでいも平気だった。何度も前というが、そう、もうそれは前のことなのだ。この世界では偉い人っていうのがいて、その人が世界の中心。たびたび変わるんだが、変わってしまったせいで、世界は大きく変わってしまった。悪い方向へ、ね。
 なそでいの運命も大きく動かされた。
 それは、今から10年前のことだった。
 突然のことだった。世界1偉い人、10年前の女王、オーロラがいた。
 オーロラは人ではなく、ユニコーンだった。オーロラはもう1000歳を超えていた。
 ユニコーンは人より長生きで、1000歳を越すことは普通のことだった。
 そんなオーロラは、けっこう重い病気にかかっていた。
 オーロラは女王を500年ほどやっていて、オーロラを好んでいる界民は多かった。
 (能力(ミラクルパワー)では一般の住んでいる生物のことをそう呼ぶ。)オーロラは優しくて、悪い生物には厳しく、まさに女王に相応しい者だった。界民のほとんどはオーロラに憧れていたと言っても過言ではない。しばらく女王の交代はなく、平和な時が流れていた。
 突然、重い病気が、更に悪化に、女王は死んでしまった。
 界民全員がショックを受け、次の女王or王がオーロラのような者だといいなと願った。
 しかし、そんな願いは届かず…。オーロラのとおーい親戚の「ニャン」という者が王となった。性格は荒く、界民をコキ使う、まさにオーロラと真逆の者だった。
 ある日ニャンはとんでもないことを言い出した。
「オイ、知ってるか。ココに能力のないやつがいるんだってなあ?」
 それを聞いた家来は一瞬驚き、すぐに自分の能力で調べた。
「はあ、確かにいるようですが…何か?」
 ニャンはにやりと笑って答えた。
「オマエはバカだな。優秀な能力もってんのに。分かんだろう?今この世界は能力中心で回ってるんだ。つまり、能力がないってことは…」
 言いかけたところで、家来ははっとして言った。
「彼女はこの世界に必要ないってことですね?」
 またにやりとして、ニャンが返した。
「そうだ。彼女はどこにいるのだ?」
 家来は急いでなそでいを調べた。しばらくして、家来が喋り出した。
「ゆるオリ町の一軒家です。どうやら、中学生のようですね。」
 それからちょっとニャンは考え込み、家来を自分の方に寄せた。
「そやつは、能力重視のココに合わない。ココから追い出してしまわなくては。」
「そうですね、でもどうやって?」
 不気味な笑みを浮かべ、作戦を話し出した。
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