パフとゆる生活
第一章 ピーチエンジェルともか

出会い

ここは〈MOMO〉という世界。
 パフという生き物と、女の子しかいない世界だ。

 そんな世界に、珍しい少女が生まれた。
 名はもか。不思議な力をもっているのだ。
 その力とは…人の匂いがわかるのだ。
 香水とかシャンプーとかじゃなく、その人そのものの。
 ということで、少女は大切に育てられていた。
 でも少女は、小さな家に住んでいた。彼女がそう望んだのだ。

 ――◇――
 少女が目を覚ますと、お母さんのももさんがいた。
 むくりと少女が体を起こすと、ももさんが柔らかい笑顔で言った。
「おはよう、もかちゃん。朝ごはんできてるよ。」
 もかはパジャマからお気に入りのワンピースに着替えると、裸足でリビングに向かった。
 リビングに着くと、香ばしいパンの香りが漂っていた。
 吸いこまれるように、もかはパンを手に取り、頬張った。
 カリカリふわふわで、とてもおいしかった。
「ねえ、もかちゃん。覚えてるわよね。」
 お母さんがにっこり言った。
 もかはキョトンとした。
「なんだっけ?」
 お母さんはふふっと笑った。
「相棒のパフを探しに行くのよ。」
 もかはああ、と思い出した。そういえばそうだった。
「でも、パフってどんななの?」
 もかが聞くと、お母さんはどこからか写真をだした。
「この子がパフっていうの。」
 もかは写真を見た。
 そこには、体は薄紫色で、丸っこくて、目はつぶら、逆三角の大きい口で、頭の先っぽがちょんと尖っている生き物がいた。
 わあ、ともかは思った。
 かわいい、早くみたい!
 もかはパンをバクバク食べると、急いで歯みがきをし、行く準備をした。

 お母さんのももさんと手を繋いで、外へ出た。
 外には生い茂る緑が、一面に広がっていた。

 その中を、2人は進んで行った。

 急に、広いところへ出た。
 そこはキレイなお花が咲き満たされていて、思わずもかは立ち尽くした。

 お母さんに連れられ、キレイな花園を進んで行くと、その先は更に楽園だった。
 さっき写真で見た、かわいい小さな生き物がいっぱいいた。
 天使みたい、ともかはメロメロになった。
 小さいもちもちの体を、よちよち動かしている。
 色んな色、模様だった。
 その中で、もかは悩みに悩んだ結果、ピンク色のパフにした。
 手に乗せると、本当に小さかった。
 もかの手のひらサイズだ。
「この子はなんなの?」
 もかが聞いた。
「妖精の一種みたいよ。」
 お母さんが答えた。
 へえ、ともかは思う。
 パフが上目遣いで、「パあふ!」と言ってきた。
 なんだ…このかわいさは…!?
 もかは絶句した。今まで自分が一番だと思ってたけど、そうじゃないようだ。
 それに、匂いもいい匂い。甘くて、ふわっとするような。
「そうだ、名前はどうするの?」
 お母さんが聞いた。
「うーん、ピーチエンジェル!」
 もかは嬉しそうに言った。
 ピーチエンジェルも、手のひらで嬉しそうに転がった。
 ――これが、もかとピーチエンジェルの出会いだった。――
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