パフとゆる生活
最終章

別れ

相棒パフ、ピーチエンジェルと別れる時がきた。

 朝、もかは真面目な顔をした ももさん、もものさんに呼ばれた。

 ももさんが言った。
「今日、ピーチエンジェルを貰ってきた場所へ返してほしいの。」
「え!?」
 もかは心底驚いた。突然にことだったし、意味がわからなかった。
「実は…もかには、私たちの研究のためにパフを貰ってきてもらったの。でも…もう十分研究できた。だから…」
「もう必要ない…と?」
 もかが言うと、お母さん2人がうなずいた。
 そんな…ともかは思った。
 そして、そんなことを知らないでいるだろうピーチエンジェルを見た。
 かわいかった。
「だから…今日中に返してね。」
 ももさんが言うと、2人はいなくなった。
 もかは底知れないショックを受けていた。
 ずっと一緒にいるものだと思っていたのだから、無理もない。

 だけど…ピーチエンジェルの気持ちはどうなんだろうか?と思った。
 やっぱり、同じ仲間がいる方がいいんだろうか。でも今まで寂しそうな素振りは見せたことがない。というか、楽しそうなピーチエンジェルしか見たことがない。
 聞いてみることにした。
「ねえ、ピーチエンジェル。」
 優しくもかは語りかけた。ピーチエンジェルは寄って耳をすませた。
「ピーチエンジェルはさ、元いたところへ戻りたい?パフ仲間のいる、あそこへ。」
 ピーチエンジェルの、「パあふ!」という返事が聞こえた。
 やっぱり、そうなんだ…
 分かってはいたものの、もかはズキっとした。
「でも、ピーチエンジェル、ここを出ていくことになるよ。わたしとお別れだよ。それでもいいの?」
 念の為、そう言ってみた。すこしは、考えてくれることを願って。
 すると、ピーチエンジェルは悩んでくれた。
 もかはほっとした。これで即答だったら、ショックだからね。
 でも…
 しばらくすると、
「パあふ!」
 という返事が聞こえた。
 ――ああ、お別れか…
 ともかは思った。
 ――ピーチエンジェルが望んでるんだ。返してあげよう。
 気がつくと、もかの目からは涙が溢れていた。
 ――ピーチエンジェルのためだ!
 涙を拭うと、ピーチエンジェルを手に持って、あそこへ走った。


 ――◇――
 着く頃には、息がはあはあだった。
 落ち着いてから、もかは手からピーチエンジェルをおろした。
 また、もかは泣き出した。
「またね、ピーチエンジェル。出会えて、よかった。元気でね。」

「パーフ!」
 元気のいい声が返ってきて、もかは嬉しくなった。
 最後にピーチエンジェルの頭を撫でてから、もかはピーチエンジェルの元を離れた。


 戻っていくと、見たことのある人に出会った。
 ことはだった。もかは驚いた。
「あれ?ことはじゃん!」
 もかが言うと、ことはが振り向いた。
 ことはは、目に涙を浮かべていた。

「ことはも、パフを返しに?」
「そう。」
 一緒に帰りながら、もかとことははしゃべった。
「わたしもお母さんに言われて。お母さんパフ研究員なんだけどね。」
「えっわたしのお母さんも!」
「うそ!こんなとこまで一緒なんてね。あはは。」


 家に帰ると、心配そうなももさんが言った。
「どう?返せた?」
「うん…」
「そう。よかった。」
 落ち込んでいるもかを見て、ももさんは笑った。
「そりゃ悲しいよね。でもさ、また会いに行けばいいのよ。」
 ももさんの言葉に、もかの気分がぐんと上がった。
 そうじゃん!

 ――離れ離れではあるけど、また会いに行くからね、ピーチエンジェル!
 
 
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