キミしか視えない
私の幼馴染
○教室(朝)

女子生徒二人が肩を寄せ合って、一つのスマホで動画を見ている。

動画の音声『高校生霊能者キリトがお送りしました。チャンネル登録と高評価よろしくお願いします』

動画の中で話している人物は、肩につくくらいの長さの黒髪を後ろでひとつに結った、センター分けの色白イケメン。

女a「はー、キリトまじかっこいい」※うっとりとした感じで

女b「今回の墓地ドライブ企画もおもろかったね!」

教室に、宇佐美優希が入ってくる。女aと女bはそれに気がつく。

女a「あ、優希、おはよう! キリトの新作見たよ!」

女b「めっちゃ、おもろかった!」

スマホの画面を優希の方に向ける。

優希「ありがとう! お父さんもきっと喜ぶと思う」

女a「いやー、でもさ、父親があのmetuber事務所の社長ってすごいよね」

優希「一時期は経営が傾いて大変だったけどね」※困ったように微笑む顔、アップで

優希(私、宇佐美優希(15)。父親がオカルトに特化したmetuber事務所USAMIを経営している)

女a「ねね、優希のコネでさ、生キリトに会えたりしないかな?」

女b「あー、それ、いい!」

優希「うーーん、私はお父さんの仕事の人とは会ったことないからなぁ」※困ったような感じで

女a &b「そこをなんとか」

優希に対して身を乗り出す女a &b。

黒茅「ダメだよ」

優希の横からヌッと顔を出す黒茅。

女a &b「で、でたーーー!」

まるで幽霊でも見たかのように血相を変えて、逃げ出す女a &b。

優希「あ、二人とも……!」

黒茅「僕、ずっと優希の隣にいたんですけど」

黒茅桐人__黒髪、肩につくくらいのロン毛を結ばずに下ろしている、前髪が長く、顔の印象が分かりづらい

皐月「二人で登校? 相変わらず仲良いね、あんたたちは」

藤井皐月__優希の友達。優希と黒茅のクラスメイト。ボブカットでさっぱりした性格。

優希「皐月ちゃん! そういえば皐月ちゃんは怖がらないよね、桐人のこと」

皐月「怖がるも何も、黒茅はフツーの人間だろ? まぁ、前髪切れば、とは思うけど、他人様のことに口出しするおせっかいにはなりたく無いからね、あたしは」

優希「皐月ちゃん、かっこいい!」

皐月の腕に抱きつく優希。それを羨ましそうに見る桐人。(本人にはそんなつもりないだろうけど、おどろおどろしい感じ)

皐月「あの子らが逃げたくなる気持ちもわからなくは無いな」※呆れた感じで

○放課後 教室  

掃除道具を手に取る優希。

身支度を整えた黒茅が近づく。

黒茅「今日、僕先帰るから」

優希「うん、じゃあまた後で」

教室を後にする黒茅に、教室にいたクラスメイトが悪意のあるひそひそ話をする。

優希モノ(幼馴染の黒茅桐人は訳あって私の家に居候している)
(クラスメイトの桐人に対する印象は、暗い、陰気臭い、存在感が薄いなどなかなかに酷いモノだ)
(それ故、なんで私たちが仲がいいのかと、不思議がるものも多い)
(でもそれは本当の桐人を知らないだけ)
(本当の桐人は誰よりも優しくて強くて、そして__)

○優希の家・外観
○優希の家ナカ


玄関を開けて一番に目に飛び込んできたのは、キリトの姿。

キリト「あ、優希ちゃん、おかえり……♡」※色白、前髪をセンターで分けており、整った顔立ちがはっきり見える

優希ママ「桐人くんちょっと待って、前髪固め忘れちゃった」

洗面所から出てくる優希ママ。

優希ママ「あら、優希おかえりなさい」

優希「ただいま」

優希モノ(人気metuber キリトの正体だったりする)
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