キミしか視えない
エンジェルさん(中編)
○教室
男子生徒に囲まれている渚。矢継ぎ早に質問を受けている。
男a「好きな食べ物は?」
渚「うーん、和菓子が好きかな」
男b「はい、はい彼氏はいますか?」
渚「いないよ」
喜ぶ男子生徒の群れ。それを遠巻きに見ている女子生徒。その中に優希もいる。
女a「男子たちデレデレしちゃってバッカみたい」
女b「てかさ、あの女、キリト様と一緒に写ってた写真の女に似てない?」
女c「あー、それ私も思ってた」
女a「ね、優希、中村さんに聞きに行かなくていいの?」
優希「な、何を?」
女a「何をって、キリト様の件に決まってんじゃん。ほらいくよ」
優希(えー、私は別に聞きたくないんだけど)※困った感じで
女子たちに流される形で、渚の前に放り出される優希。
女b「ちょっと男子どきなよね」
女c「散った、散ったー」
男子の群れを押し除けて、渚とあいたいする優希。
渚「こんにちは」
優希「……こんにちは」
渚「さっき目があったよね」
優希「うん」
女a「うちら、ちょっと聞きたいことあるんだけどさ、いい?」
渚「私に答えられることなら」
女a「これ、中村さんだよね?」
スマホを渚に突き出す。画面にはネットで拡散されている、キリトと渚が腕を組んで街を歩いている写真が映し出される。
渚「確かにこれは私ですね」
優希(もしかしてと思ったけど、本当にそうだったんだ……)※ショックを受ける
女b「まさかキリト様と付き合ってるとか?」
女a「優希は、キリトが所属するmetuber事務所の社長令嬢なんだよね。スキャンダルとか周りに迷惑かけると思わないわけ?」
女aが優希の肩を抱き、話の中心に優希を添える。
すると俯いてくすりと笑う渚。
女a「ちょっ、何がおかしいのよ!」
渚「あぁ、ごめんなさい。何か勘違いをされてるようでしたので」
女a「勘違い?」
渚「ええ、たしかに写真に写っているのは私で、その隣にいるのはキリト様です」
女b「じゃあ__」
渚「でも、偶然街でお見かけして、声をかけただけですよ。私も、彼のmetube のファンなんです」
女c「それにしては、距離近くない?」
渚「それは」
外野で話を聞いていたクラスメイト、吉野芽衣子が会話に加わる。
吉野芽衣子__栗毛色のおかっぱ、丸メガネをかけていて小柄。
芽衣子「渚の部屋。中村さんって、もしかして渚の部屋のNagisaさんですか?」
女c「は?」
ぽかんとする女abc &優希。
渚「あら、よく分かったわね」
芽衣子「じゃあ、本人なんですね」※目をキラキラとさせて
女a「ちょっと、芽衣子、渚の部屋って何よ」
芽衣子「知らないんですか? 1が月でチャンネル登録者数3万人越え!! 今占い界隈では話題のルーキーmetuberです。お顔出しされていないので半信半疑だったんですけど、お声でわかりました。いつも動画見てます」
渚「嬉しいわ、ありがとう」
優希(占い系metuber?)
女c「ちょっと、metuberだからって、キリト様に馴れ馴れしくする理由見当たらないんですけど」
女a &b「そ、そうよ!」
渚「私、直感がよく働くんです。あのときはキリト様のオーラがあまりにも清浄で、興奮してしまったんだと思います」
クラスメイト男子「あの、俺、渚ちゃんに占ってもらいたいなーなんて」
芽衣子「ずるいです! そんなこと言ったら私だって」
クラスメイトに囲まれる渚、その人の輪から弾き出される女a,b,c &優希。
女a「なんなのよ、あいつ」
○優希宅 リビング (夜)
机の反対側に優希パパ、向かい側に優希と桐人が腰をかけている。
優希パパ、真剣な顔のアップ。
優希パパ「じゃあ、これは桐人くんじゃないんだね?」
机の上にあるスマホには、例の、桐人と瓜二つの男性と渚が腕を組んでる絵が写っている。
桐人「はい、僕は撮影以外でキリトの姿で外を歩くことはないですし、この女性に話しかけられた記憶もありません」
優希(考えてみれば、桐人がキリトの姿で出かけるの見たことないかも)
優希パパ「そうか」
桐人「なんかすみません、ネットでは炎上してるみたいですね」
優希パパ「いや、桐人くんが謝ることじゃないんだ……でもこの炎上はきついな。キリトの視聴者は若い女性ファンが多いから。幾ら今回のスキャンダルが他人の空似だとしても、こんだけ似ていたら……」※泣きそうな感じで
優希「パパ、そのことで私、考えがあるんだけど」※手を上げでおずおずと話し出す優希
○学校の教室
スマホ動画画面。
キリトと渚が2人で映っている。
紙の上に置かれた100円玉に人差し指をおきエンジェルさんをやってる絵。
キリト「僕と渚ちゃんの相性は85%」
渚「すごい、高いですね! もしかして運命の相手だったりして?」
キリト「ごめんね。僕には心に決めた人がいるんだ」
渚「悲しい、振られた笑 ちなみにどなたなんですか?」
キリト「君だよ」
画面の向こうを指すキリト。
キリト『以上、エンジェルさんやってみた、でした。ここまでは高校生霊能者キリトと、』
渚『ゲストのjk占い師nagisaがお送りしました〜』
渚の席の前に集まる好意的なクラスメイトたち。
それを遠巻きに眺める、優希と皐月。
皐月「すごい人気ね、転校生」
優希「これも動画の効果かな」
斉藤「優希ちゃん、キリト、ツクッターのトレンド入ってる」※ハワワと言う顔で駆け寄ってくる斉藤
優希(斉藤くんは、実はものすごいキリトのファンらしい。桐人にはそのことを隠しているみたいだけれど、【隠せていない】合唱コンクールの一件があってから、私や皐月の前では、キリトが好きなことを隠さなくなった)
皐月”よかったじゃん”
斉藤”スクショしちゃった”
優希(渚とキリトのコラボ動画は概ね好調。snsを見る限り、スキャンダル写真はコラボ撮影のおりに撮られたものではないかとの話に落ち着いた)
(渚ちゃんに協力を頼めてよかった)
渚に事情を説明する、優希の回想絵。
(自身のチャンネルでは覆面で活動してるのに、わざわざ顔出しまで了承してくれるなんて思わなかったけど、本当にいい子だ)
(なのに)
SNSの画面。
キリトとNagisaって悔しいけどお似合いじゃね?と言う文字。
(こんな気持ちになるなんて、恩知らずもいいところだ)
スマホをぎゅっと握りしめる優希。
男子生徒に囲まれている渚。矢継ぎ早に質問を受けている。
男a「好きな食べ物は?」
渚「うーん、和菓子が好きかな」
男b「はい、はい彼氏はいますか?」
渚「いないよ」
喜ぶ男子生徒の群れ。それを遠巻きに見ている女子生徒。その中に優希もいる。
女a「男子たちデレデレしちゃってバッカみたい」
女b「てかさ、あの女、キリト様と一緒に写ってた写真の女に似てない?」
女c「あー、それ私も思ってた」
女a「ね、優希、中村さんに聞きに行かなくていいの?」
優希「な、何を?」
女a「何をって、キリト様の件に決まってんじゃん。ほらいくよ」
優希(えー、私は別に聞きたくないんだけど)※困った感じで
女子たちに流される形で、渚の前に放り出される優希。
女b「ちょっと男子どきなよね」
女c「散った、散ったー」
男子の群れを押し除けて、渚とあいたいする優希。
渚「こんにちは」
優希「……こんにちは」
渚「さっき目があったよね」
優希「うん」
女a「うちら、ちょっと聞きたいことあるんだけどさ、いい?」
渚「私に答えられることなら」
女a「これ、中村さんだよね?」
スマホを渚に突き出す。画面にはネットで拡散されている、キリトと渚が腕を組んで街を歩いている写真が映し出される。
渚「確かにこれは私ですね」
優希(もしかしてと思ったけど、本当にそうだったんだ……)※ショックを受ける
女b「まさかキリト様と付き合ってるとか?」
女a「優希は、キリトが所属するmetuber事務所の社長令嬢なんだよね。スキャンダルとか周りに迷惑かけると思わないわけ?」
女aが優希の肩を抱き、話の中心に優希を添える。
すると俯いてくすりと笑う渚。
女a「ちょっ、何がおかしいのよ!」
渚「あぁ、ごめんなさい。何か勘違いをされてるようでしたので」
女a「勘違い?」
渚「ええ、たしかに写真に写っているのは私で、その隣にいるのはキリト様です」
女b「じゃあ__」
渚「でも、偶然街でお見かけして、声をかけただけですよ。私も、彼のmetube のファンなんです」
女c「それにしては、距離近くない?」
渚「それは」
外野で話を聞いていたクラスメイト、吉野芽衣子が会話に加わる。
吉野芽衣子__栗毛色のおかっぱ、丸メガネをかけていて小柄。
芽衣子「渚の部屋。中村さんって、もしかして渚の部屋のNagisaさんですか?」
女c「は?」
ぽかんとする女abc &優希。
渚「あら、よく分かったわね」
芽衣子「じゃあ、本人なんですね」※目をキラキラとさせて
女a「ちょっと、芽衣子、渚の部屋って何よ」
芽衣子「知らないんですか? 1が月でチャンネル登録者数3万人越え!! 今占い界隈では話題のルーキーmetuberです。お顔出しされていないので半信半疑だったんですけど、お声でわかりました。いつも動画見てます」
渚「嬉しいわ、ありがとう」
優希(占い系metuber?)
女c「ちょっと、metuberだからって、キリト様に馴れ馴れしくする理由見当たらないんですけど」
女a &b「そ、そうよ!」
渚「私、直感がよく働くんです。あのときはキリト様のオーラがあまりにも清浄で、興奮してしまったんだと思います」
クラスメイト男子「あの、俺、渚ちゃんに占ってもらいたいなーなんて」
芽衣子「ずるいです! そんなこと言ったら私だって」
クラスメイトに囲まれる渚、その人の輪から弾き出される女a,b,c &優希。
女a「なんなのよ、あいつ」
○優希宅 リビング (夜)
机の反対側に優希パパ、向かい側に優希と桐人が腰をかけている。
優希パパ、真剣な顔のアップ。
優希パパ「じゃあ、これは桐人くんじゃないんだね?」
机の上にあるスマホには、例の、桐人と瓜二つの男性と渚が腕を組んでる絵が写っている。
桐人「はい、僕は撮影以外でキリトの姿で外を歩くことはないですし、この女性に話しかけられた記憶もありません」
優希(考えてみれば、桐人がキリトの姿で出かけるの見たことないかも)
優希パパ「そうか」
桐人「なんかすみません、ネットでは炎上してるみたいですね」
優希パパ「いや、桐人くんが謝ることじゃないんだ……でもこの炎上はきついな。キリトの視聴者は若い女性ファンが多いから。幾ら今回のスキャンダルが他人の空似だとしても、こんだけ似ていたら……」※泣きそうな感じで
優希「パパ、そのことで私、考えがあるんだけど」※手を上げでおずおずと話し出す優希
○学校の教室
スマホ動画画面。
キリトと渚が2人で映っている。
紙の上に置かれた100円玉に人差し指をおきエンジェルさんをやってる絵。
キリト「僕と渚ちゃんの相性は85%」
渚「すごい、高いですね! もしかして運命の相手だったりして?」
キリト「ごめんね。僕には心に決めた人がいるんだ」
渚「悲しい、振られた笑 ちなみにどなたなんですか?」
キリト「君だよ」
画面の向こうを指すキリト。
キリト『以上、エンジェルさんやってみた、でした。ここまでは高校生霊能者キリトと、』
渚『ゲストのjk占い師nagisaがお送りしました〜』
渚の席の前に集まる好意的なクラスメイトたち。
それを遠巻きに眺める、優希と皐月。
皐月「すごい人気ね、転校生」
優希「これも動画の効果かな」
斉藤「優希ちゃん、キリト、ツクッターのトレンド入ってる」※ハワワと言う顔で駆け寄ってくる斉藤
優希(斉藤くんは、実はものすごいキリトのファンらしい。桐人にはそのことを隠しているみたいだけれど、【隠せていない】合唱コンクールの一件があってから、私や皐月の前では、キリトが好きなことを隠さなくなった)
皐月”よかったじゃん”
斉藤”スクショしちゃった”
優希(渚とキリトのコラボ動画は概ね好調。snsを見る限り、スキャンダル写真はコラボ撮影のおりに撮られたものではないかとの話に落ち着いた)
(渚ちゃんに協力を頼めてよかった)
渚に事情を説明する、優希の回想絵。
(自身のチャンネルでは覆面で活動してるのに、わざわざ顔出しまで了承してくれるなんて思わなかったけど、本当にいい子だ)
(なのに)
SNSの画面。
キリトとNagisaって悔しいけどお似合いじゃね?と言う文字。
(こんな気持ちになるなんて、恩知らずもいいところだ)
スマホをぎゅっと握りしめる優希。
