リアル・アクション・アプリ
次は鯉の餌やり動画。
それも再生してみると、池に向かう途中から動画が始まっていた。

『えーっと。次のミッションは鯉の餌やりです。僕は生き物があまり得意じゃないけど、まぁ、鯉なら水の中から出てこないからできるかな』

そんな音声ととも中条先輩の不安そうな表情が見える。
中条先輩はカエルだけじゃなく、生き物全般が苦手だったみだいた。

「ちょっと待って、生き物が出てきたミッションって鯉トカエルだけじゃなかったよね?」
知里の言葉に私は首をかしげた。

今までのミッションを頭の中で思い出してみるけれど、菅原先生が亡くなったことのショックで思い出せないミッションがある。

「昨日の犬の餌やりか」
昇がすぐに答えた。
そういえばそんなミッションが来ていた気がする。

よくよく記憶を掘り起こしてみると、私は近所の犬に餌をあげにいったかもしれない。

よく知っている犬だし、時々散歩させてもらったり餌をあげたりしていたから、無意識にできたことだ。

「菅原先生もミス3回だったよね」
美穂がなにかに気がついたように言う。
「そうだね。グランド一周、おんぶ、万引。これは失敗してるはず」
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