リアル・アクション・アプリ
☆☆☆

通知が来たのは1時間目の授業が始まって20分ほどが経過したときのことだった。
スカートのポケットでスマホが震えたのを感じて、私はビクリと体を跳ねさせた。

いつもの私なら授業時間には必ずスマホの電源を落としているけれど、【R‐リアル】をはじめてからは電源はつけっぱなしになっていた。

隣と知里と目配せをして、そっとポケットからスマホを取り出す。

先生が黒板の方へ向いている間に素早く確認してみると、【5分以内に大人の靴を切りきっ残だ動画を投稿しろ】と書かれている。

こんなの無理に決まってる。
学校内で大人の靴といえば、先生たちの靴しかない。

それを切り刻むなんてこと……。
そう思ってギュッと拳を握りしめたとき、突然昇が「いてて!」と、声を上げた。

先生や他の生徒たちの視線が一斉に昇に集まる。
そんな中昇は体をくの字に折り曲げて席を立った。
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