リアル・アクション・アプリ
涙が滲んできたけれど、自分がやってしまったことなので力を込めて我慢した。
「どうしようもないってどういうこと? 誰かに脅されてやったってこと?」

「ち、違う!」
咄嗟に首を振って否定する。
今度はイジメられていると勘違いされてしまう。

今回のメンバーがバレれば、知里と昇が悪者になってしまう。
「じゃあ友達と示し合わせてやったっていうのは本当なんだな?」

お父さんの言葉にうなだれる。
もう頷く他なかった。

「先生のことが嫌いだからってイヤガラセのつもりでやったんだろうが、器物損壊は立派な犯罪だ!」

わかってる。
だから私は万引もできなかった

でも、でもやらなきゃ……。
突然中条先輩が倒れたときの顔が脳裏に浮かんできた。

全身が寒くなり、真冬みたいにカチカチと歯が鳴る。
「瞳どうしたの? 寒いの?」
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