リアル・アクション・アプリ
学校という単語だけで今日の出来事が脳裏をよぎる。
家には連絡しないでと、先生に言っておくべきだった。

だけど後悔してももう遅い。
先生は電話であの話をしてしまったんだろう。

「今日、瞳が友達と一緒に先生の靴を切り刻んだって報告だったわ。そんなことしないわよね?」

そう質問しながらも私に疑いの目を向けてきている。
私はそんなことしない。

そう思いたいけれど、信じきれない気持ちがあるんだと思う。
私は膝の上で拳を握りしめた。

お父さんとお母さんの顔を直視することができない。
「……ごめんなさい」

言い訳を考えて切り抜けようかとも思ったけれど、そこまで頭が回らず結局素直に謝ることしかできなかった。

その瞬間、お母さんが悲痛にも似たため息を吐き出す。
「どうしてそんなことをしたんだ!」

お父さんの怒号が耳に痛い。
「ど、どうしようもなくて」
声が震える。
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