リアル・アクション・アプリ
誰かを殴る動画?
「そ、そんなことできない!」
知里がすぐに首を振って拒絶する。

「でも3分以内だ。もう動画を取り始めないと3人共ミスになる」
昇が早口で言うと充電中の私のスマホを知里へ手渡した。
「ちょっと、なにする気!?」

慌てて立ち上がると、昇が私へ顔を向けた。
「俺を殴るんだ」

「そんなのできない!」
「早く!!」
昇のどなり声にビクリと体が震える。

スマホを手渡された知里が震えながらもこちらを撮影している。
「時間がない。全員で死ぬ気か?」
昇からの言葉に私は唇を噛み締めた。

ここでやらなきゃ、学校を抜け出してきた意味もなくなってしまう。

私は右手の拳を握りしめて、そして昇の頬を殴りつけたのだった。
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