リアル・アクション・アプリ
少し充電しておかないと通知がきたときに電池切れになってしまうかもしれない。
幸い、両親と私は同じ充電器で充電できる機種を使っている。

すぐ近くにある充電器に差し込むと、すぐに充電が開始された。
ホッと胸をなでおろしてベッドの上に腰をかける。

「通知が来る前に見つかってよかったね」
「うん。ふたりのおかげだよ、ありがとう」

まだ心臓はドキドキしているし、背中に汗が流れているけれどひとまずはこれで安心だ。
ふたりに冷たいお茶を出して落ち着いてきたころ、スマホがポンッと音を立てた。

いつもの通知音に体が反応してビクリと震えてしまう。
「【R‐リアル】からだ」

昇が通知内容を確認している。
自分でも確認しようと思ったけれど、昇の真剣な表情を見るとなんだか怖くなってスマホに手を伸ばすことができなかった。

「なんて書いてあったの?」
数秒の沈黙が流れた後でそう質問すると昇が大きなため息を吐き出した。

「【3分以内に誰かを殴りつける動画】」
昇の言葉に私は口を開けたまま絶句してしまった。
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