月が、綺麗だったんだ
家が同じ方向にあるため、そのまま並んで夜道を歩く。
夏は終わったはずなのに、まだ生ぬるい風が吹いている。
なんとも不快な風。
秋になったんだから、涼しい風が吹けばいいのに。
まあ、過ごしやすい夜だったらアイスを買いに行かなかったし、そうしたら琉唯に再会しなかったから、あまり文句は言えないけど。
「じゃ、ゴチになります」
「どーぞ」
私は袋を開け、アイスを取り出した。
お行儀悪いのはわかっているけど、外で、それも人のお金で食べるアイスは美味しい。
「こんな夜中にアイスとか、太るんじゃね」
「うるさいな」
琉唯は乾いた笑いを零しながら、タバコを一本取り出した。
そしてタバコを咥えるその姿が、アイツと重なった。
琉唯に気付かれる前に視線を逸らす。
「……歩きタバコはやめときなよ」
アイツのことなんて思い出したくなくて、私はもっともらしいことを言った。
本当は、こんなことを言う優等生キャラじゃないんだけど。
「だな。あー……俺もなんか買えばよかったわ」
急な真面目キャラには触れず、タバコをジーパンの後ろポケットに仕舞い、空を仰いだ。
私はまた、一口齧る。
人が一人入れるほど離れてはいないけれど、近すぎもしない、私たちの距離。
その間を、再び生ぬるい風が通った。
夏は終わったはずなのに、まだ生ぬるい風が吹いている。
なんとも不快な風。
秋になったんだから、涼しい風が吹けばいいのに。
まあ、過ごしやすい夜だったらアイスを買いに行かなかったし、そうしたら琉唯に再会しなかったから、あまり文句は言えないけど。
「じゃ、ゴチになります」
「どーぞ」
私は袋を開け、アイスを取り出した。
お行儀悪いのはわかっているけど、外で、それも人のお金で食べるアイスは美味しい。
「こんな夜中にアイスとか、太るんじゃね」
「うるさいな」
琉唯は乾いた笑いを零しながら、タバコを一本取り出した。
そしてタバコを咥えるその姿が、アイツと重なった。
琉唯に気付かれる前に視線を逸らす。
「……歩きタバコはやめときなよ」
アイツのことなんて思い出したくなくて、私はもっともらしいことを言った。
本当は、こんなことを言う優等生キャラじゃないんだけど。
「だな。あー……俺もなんか買えばよかったわ」
急な真面目キャラには触れず、タバコをジーパンの後ろポケットに仕舞い、空を仰いだ。
私はまた、一口齧る。
人が一人入れるほど離れてはいないけれど、近すぎもしない、私たちの距離。
その間を、再び生ぬるい風が通った。