月が、綺麗だったんだ
「てか、マジで久しぶりだよな。いつ以来だっけ」
「高校卒業以来じゃない? 二十歳の集いでは会ってないし、その後の同窓会は、琉唯がサボったから」
「サボったとか人聞きの悪い言い方するなよ。あれ、強制じゃなかったろ」
「……そうだけど」
私たちはたまに連絡するくらいで、わざわざ約束して会ったりしない。
だから、約束をしないで会って、近況報告ができる同窓会はサボってほしくなかった。
「なに? もしかして依茉、俺に会いたかったわけ?」
でもこんなことを言ってくるから、正直に言う気も失せるわけだ。
「……違うし」
「相変わらず素直じゃないなあ」
琉唯はケタケタと笑う。
いつだって、私のちょっとした強がりみたいな言葉は、琉唯に見透かされる。
どれだけ取り繕っても、今みたいに「素直じゃないなあ」って笑ってくれる。
だから、琉唯の隣は気を張らずにいられて、居心地がいいのかもしれない。
「そういや、依茉ってこの辺で就職してなかったよな。転職でもした?」
明日は平日で、仕事があるのに地元に戻っているのだから、気になるのは当然だろう。
でも、可能なら触れてほしくなかった。
「いや……ここから電車で通勤してる。なんと、片道四十分」
「うわ、大変そう」
そうだよ、大変なんだよ。
田舎で、電車で通うなんて。
私だって、正気の沙汰じゃないと思ってる。
でも、そうするしかなかったんだよ。
「一人暮らしは? してなかったっけ」
「んー……してたけど……」
琉唯の質問に、曖昧に返す。
琉唯が疑問を抱いているのは、顔を見なくてもわかった。
「高校卒業以来じゃない? 二十歳の集いでは会ってないし、その後の同窓会は、琉唯がサボったから」
「サボったとか人聞きの悪い言い方するなよ。あれ、強制じゃなかったろ」
「……そうだけど」
私たちはたまに連絡するくらいで、わざわざ約束して会ったりしない。
だから、約束をしないで会って、近況報告ができる同窓会はサボってほしくなかった。
「なに? もしかして依茉、俺に会いたかったわけ?」
でもこんなことを言ってくるから、正直に言う気も失せるわけだ。
「……違うし」
「相変わらず素直じゃないなあ」
琉唯はケタケタと笑う。
いつだって、私のちょっとした強がりみたいな言葉は、琉唯に見透かされる。
どれだけ取り繕っても、今みたいに「素直じゃないなあ」って笑ってくれる。
だから、琉唯の隣は気を張らずにいられて、居心地がいいのかもしれない。
「そういや、依茉ってこの辺で就職してなかったよな。転職でもした?」
明日は平日で、仕事があるのに地元に戻っているのだから、気になるのは当然だろう。
でも、可能なら触れてほしくなかった。
「いや……ここから電車で通勤してる。なんと、片道四十分」
「うわ、大変そう」
そうだよ、大変なんだよ。
田舎で、電車で通うなんて。
私だって、正気の沙汰じゃないと思ってる。
でも、そうするしかなかったんだよ。
「一人暮らしは? してなかったっけ」
「んー……してたけど……」
琉唯の質問に、曖昧に返す。
琉唯が疑問を抱いているのは、顔を見なくてもわかった。